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一刀斎夢録

"浅田次郎著『一刀斎夢録』を読了した。ネタバレしてしまう内容を綴るので読む際は注意してほしい。 舞台は明治から大正にかわる頃、近衛師団の梶原中尉は剣道においてライバルである警視庁警部の榊の話から一刀斎の存在を知る。興味を持った梶原は一刀斎の元を訪ね、そこから一刀斎、つまり藤田五郎こと斎藤一の昔語りを7夜に渡り聞くことになる。あらすじはこんなところだ。新選組の歴史をさらうというよりも「斎藤一という鬼の道」を覗いたような印象。斎藤さんがその時々の心中を語っている。 この作品で私が最も心に残ったことは二つある。一つは剣の道について斎藤さんが語っている部分。「剣とは技であり術である。それらを極めて道となる。なれば剣道とは神仏に通ずる道でも人の道の先にあるものでもなく、鬼の道である。」というふうな文。もう一つは、最後の方に梶原中尉が話を思い返している部分。「救われざる命を救わんとする人の情ではなく、ましてやわが身を捨てて人を救わんとする仏の慈悲でもなく、救われざる命ならばおのが手で奪うと決めた、鬼のやさしさであった。」のところ。鬼と言われる武士の、多くを語らないかっこよさがありつい惹かれてしまう。つらくないはずがなかっただろう。 現代人にとっては武士というものが生きづらくみえるのではないだろうか。しかし、そうした新選組の誠の武士達のかっこよさが私には眩しくみえる。どうしようもなく魅力を感じてしまうのだ。 「生き残り」は当事者にとっては「死に損ない」だったのかと思うとまた胸が痛む。「生き残ること」と「勝つこと」は一致するわけではないことも示している。いろいろと考えさせられる作品だと思う。私は読んでみて良かったと思っている。